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皆様、ごきげんよう。
札幌市中央区の税理士 板倉圭吾です。
本年もよろしくお願いいたします。
2026/1/2に
『はじめてのPTA会計 ― 安心して引き受けるための実務ガイド』
をKindleで出版しました。
今日は、少し出版裏話を書いてみたいと思います。
PTA会計の本なのに、なぜ国の通達?
PTA会計について、たまに取り上げるニュースでは
「横領」「不正」「ずさんな管理」
といった言葉が並びます。
でも、実際にPTA会計を引き受けてみると、
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会計の専門家ではない
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任期は1年〜2年
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前例を引き継ぐしかない
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学校・自治体・PTAそれぞれの役割が曖昧
という条件の中で、難しい役割を担わされていると感じる場面もあります。
そこで私は、「行政は現在の状態をどう考えているのか」を確認することにしました。
文科省の通達を読んで分かったこと
そこで、文部科学省の通知や、学校徴収金・私費会計に関する資料を読んでみました。
国が発出する通達の多くは、
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学校や教職員が学校徴収金業務を担い続けるには無理がある
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中途半端にお金を預かる構造はリスクが高い
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徐々に整理していく必要がある
といった構造的な問題を指摘しています。
自治体の監査資料が示していた視点
自治体の監査結果等からは次のような着眼点で書かれているものが多い印象でした。
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金額の大小ではない
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会計処理のテクニックでもない
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「説明できる状態にあるかどうか」
つまり、収支が合っているかというレベルではなく、「なぜ使途や会計基準がそうなっているかを説明できるか」という視点です。
だから「会計書類の最低ラインを意識してみましょう」という構成に
この本では、
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貸借対照表を作りましょう
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専門的な会計処理をしましょう
とは書いていません。
代わりに、
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1年間のお金の動きを説明できること
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今いくら残っているかを説明できること
税理士として、 「最低限ここまでできていれば安心」というラインを示しました。
「安心ラインには、収支計算書だけでは足りない」ということが一番伝えたいことです。
さいごに
この本を書くにあたって、実は一番気を使った点があります。
それは、「この本が誰かを責めるための根拠として使われないこと」でした。
PTA会計を巡る話題は、ときに「ここが足りない」「あれはおかしい」といった指摘合戦になりがちです。
しかし、文科省の通達や自治体の監査資料を読み進める中で、私自身が強く感じたのは、「PTA会計が、難しい役割(あるいは安易な解決方法としての役割)を背負わされてきた」という構造的な問題でした。
そのため、本書では、「こうすべきだ」というような断定的な書き方を、あえて避けています。
代わりに、どこまでできていれば安心なのかという点だけを、丁寧に言語化しました。
これは、「読者がPTA会計担当者を裁くため」ではなく、「読者が安心して役割を引き受けられる状態になること」が本書の役割だからです。
もしこの本が、PTA会計を引き受ける人の肩の力を少し抜き、「これなら大丈夫かもしれない」と思ってもらえるきっかけになったなら、それが著者として一番うれしい使われ方です。
PTA会計はいま過渡期にあります。だからこそ、「単位PTAの中で長く続く形を一緒に考えていける」という構成にこだわりました。