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イクメン税理士が口唇口蓋裂児の父に送るメッセージ<№204>

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※今日はマジメな話なのです。

 

イクメン税理士が口唇口蓋裂児の父に送るメッセージ

おはようございます。

北海道札幌市西区発寒のイクメン税理士 板倉圭吾です。

今日は、いつもとはテイストの異なる文章です。口唇口蓋裂という病名をご存知でしょうか。

2010年に書き始め、ようやく公開しようと思いました。そのため、引用している論文などは最新のものではありません。

でも同じ病気で産まれてきた子どもの父親に向けてのメッセージは変わりません。是非読んでほしいです。

 

1.はじめに

私は口唇口顎裂を持って生まれてきた子供の父親です。

少し自分のことをお話しします。

2009年に生まれた長男が口唇口顎裂でした。生まれてくる前にはわかっておらず、出産後分娩室の前で待っていた私に、お医者さんが「元気な男の子が生まれました。ただ口のところに障害があります。でも必ず治るものです。」と言い、看護師長さんが神妙な顔で「赤ちゃんに会いますか?」と聞いてきました。どうしてそんなこと聞くのかなぁ、会いたくないという父親もいるのかなぁなんて思いながら「もちろんです」と言いました。

すぐに師長さんが長男を抱っこで連れてきました。ずっと待ち望んでいた赤ちゃんです。顔を見ると、唇から片側の鼻の穴までのところが切れていて痛そうです。結構驚きました。

師長さんは「これは口唇裂といいます。毎年うちの病院でも生まれるけど、必ずきれいに治ります。念入りに体を調べたけど、ほかには異常はありません。」と教えてくれました。

本当に治るのか?と思いながらずっと見ていると、師長さんが「お父さん抱っこしますか?」と聞いてきました。動揺していましたが、待望の瞬間です。妊娠が分かってから、この瞬間を夢見ていました。再び「もちろんです」と言いました。

師長さんは「これからお母さんの処置がまだあるので、お父さんしばらく抱っこしていてください。お母さんが落ち着いたらお父さんから子供のことを伝えてもらうのが一番いいと思う」と言われました。

そうか、妻はまだ知らない。そうして約40分間、生まれたばかりの我が子をベンチに座ってずっと抱っこしていました。そうしているうちに、「よし!!この子を守らなきゃ、もう父親なんだ」という実感がだんだんと湧いてきました。

妻の処置が終わって、子どもを連れてベッドまで行きました。妻はなかなか我が子に会えないことに不安を覚えていたようです。

「頑張ったね、元気に生まれたよ。先に抱っこさせてもらってた。それでね、唇のところが切れているけど、必ず治るってさ」と、話しかけ子どもを見せました。妻は麻酔の影響がまだ残っていましたが、会えたことに安堵していました。

その時に、「子どもだけではなく妻も守らなきゃ」と強く思いました。

どうやら子どもの口唇裂はきれいに治るらしい。そして生まれてすぐの赤ちゃんに父親としてできることはほとんどないだろうし、産婦人科の看護士さんは赤ちゃんのプロだ。でも、妻が麻酔から覚めてさっき私が感じたようなショックを抱いたら、それに向き合えるのは夫である私しかいない、と。

この文章は、個人的な体験に加え、医学的な論文で発表された内容を紹介しています。また、この文章では、子どもが3歳くらいまでの間に考えるべきことにフォーカスしています。子どもが生まれてすぐにできることは限られており、父親がそれ以上先のことを心配しても仕方ないと思うからです。

一人でも多くの父親(出生前に告知を受けたプレパパも含む)に、この文章で、口唇裂などを持って生まれてきた(生まれてくる)子どもの母親へのサポートの重要性を理解してもらえたら幸いです。

ここでは、口唇裂などのことをCLP、口唇裂などを持って生まれてきた子どものことをCLP児と呼びます。これは医学英語で、口唇裂や口蓋裂、口唇口蓋裂をcleft lip and/or palate と表現するためです。あえて英語表記にすることで、読んでいる間は父親である読み手の意識をCLP児から母親(妻)へと移してもらうことを意識しています。

2.いろいろと調べてみた

(1)どうしてCLPになるの?

医学的にもまだ解明されていません。

医学的には「本症は、遺伝的な要因の他に環境的要因により出生すると考えられており、(中略)日本人においては400 名〜600 名に1名の割合で出生する」と言われており、ストレスなどいろいろな要因が複雑に作用するようです。研究者の中には大気汚染や食品添加物との関係を調べている人もいます。

2013年の日本の出生数は102万9800人でしたので、計算上は年間1、716人~2、574人くらいのCLP児が生まれてくる計算です。余談ですが調べてみると大体、東京大学に現役合格する人数(定員3、000人で現役合格率60-70%程度)と同じくらいです。結構多いですよね。

ここで重要なのは、どうしてCLPになるのかお医者さんでも確かなことがわからないのに父親が考えても仕方がないということと、毎年CLP児が生まれてきていて医学的には治療方法が確立していて(しかも絶えず技術進化していて)必ず治るということです。つまりどう治すかはお医者さんに任せて、ショックから家族がどう乗り越えるかが父親としてまず考えるべきことです。(ここでお医者さんに任せるというのは、哺乳方法なども含めて当面子どもに必要なことは、父親が解決策を考える必要はなく医師の指示に従うべきという意味です)

 

(2)母親はすごいショックを受ける

医学論文によると「わが子が(略)外表の異常を伴っていることを初めて知った時、拒否・否認・驚き・怒り・悲しみにうちひしがれ、驚愕のあまり自殺を考える母親や、わが子に対して拒否的態度を示す母親もみられる」と書かれています。

長い期間自分のおなかに入っていた子どもと母親の繋がりは、我々父親には理解できません。でも、我々は夫としてできることがあります。妻がどういう心理状態であるかは一番よくわかるはずです。

我が子がCLP児であるという精神的なショックに加えて、出産をいう大仕事を成し遂げたばかりで体力的にも疲弊しています。いつもと違うと感じることがあったら、状態に合わせて妻に声をかけてみるとか医療スタッフに相談するとか何かできることはあるはずです。自分の妻が、新米ママとして、 我が子のCLPについて受け入れる道のり(医学的には受容過程と言うそうです)を共に歩いてください。

 

(3)父親だってショックを受ける

もちろんショックを受けるのは母親だけではありません。

私がCLPについて妻よりも先に告知され、わが子と対面したことは前に書きましたが、「母親の衝撃を少なくするために父親にまず告知する姿勢はこれまでにも報告されていたが、健康な我が子の誕生を心待ちにしていた父親は、児に異常があることや母親よりも先に事実を知ってしまったことに対して動揺をはるかに超えた衝撃を感じた」と書かれた論文もあります。

当たり前ですが、我々父親もまたショックを受けるのです。

でもこんな報告もあります。「一般的に、外表異常のある児の誕生に伴う親の気持ちは否定的な部分が注目されることが多いが、本研究の父親は喜びや愛情を示していた。父親は我が子の誕生に対してうれしい、よかったと純粋に喜び、どういう状況であれ心境の変化はないと、自分にとってかけがいのない存在として愛おしく思う気持ちを告知直後から示すことが明らかとなった」というものです。私も実感しました。

お医者さんはここまで全てわかっていて、状況によっては我々父親に先に告知するのです。

ここで重要なのは、我々父親が受けたショックよりも母親の受けるショックの方が大きいだろうと推測し、その心理状態を注意深く見守ること。そして、受容過程は母親だけではなく夫婦二人で乗り越えるものであると安心させることです。

 

(4)夫として、父親としてサポートが必要だと思った

医学論文では「地域の習慣(注 ここでは子供の誕生を近所の人にお披露目する習慣があるのに公表できなかった)や偏見、両親、祖父母の子どもに対する反応が、(注 母親の)受容過程を負の方向へと導く要因である」とか、「祖父母の『うちの家系には』といった言葉が母親にとって耐えがたい心理的状態を作り出し、まだ多くの母親がこの状況を体験している」という指摘がされています。

幸いにして、私の周囲ではこのような状況は起こらなかったのですが、我が子が生まれてすぐに調べたCLP児ママのブログなどではこのような事例が実際に起こった様子が書かれているものが多くありました。

また受容過程にいる我々父母にとっては、好意的な配慮であっても複雑な気分になることがあります。例えば産婦人科で新生児室にいる間の我が子が、他の人の目につかないように死角にされているときなどです。

妻にCLPの治療をしてくれる病院のことや、対外的なやり取りまで任せるのは、体力・精神力ともに荷が重すぎると思いました。

少しの間、仕事を休んで家族のために過ごそう、そう決めました。

 

3.育児休業を取得

私は、子どもが生まれた後に急遽育児休業を取得することにしました。休みたいと申し出るだけでも抵抗感がありました(たった数年前ですが、今とは環境がが全く違いました)が、今考えるべきは勤務先のことではなく、家族のことです。

子供の写真を見せ、医師から受けた説明をして、「CLPの治療を担当する病院を探し、妻が育児に専念できる環境を整えるまで休みたい」と申し出て3週間ちょっとの育児休業を取れることになりました。

 

4.大学病院へ

私の場合は、産婦人科を退院するときにお医者さんから紹介状をもらって入院施設のない形成外科に行くよう指示されました。そこで、再度診察をして、再び紹介状をもらって大学病院に行きました。大学病院は紹介状のない患者は原則として診察してくれませんが、どうやらその紹介状は婦人科医ではなく(CLP治療の専門である)形成外科医が書く必要があったようです。

そのあたりは、各地域の大学病院の慣習なのかもしれませんが、産婦人科のお医者さんからはまったく説明がなかったので、転々とすることに不安を感じました。

 

5.おわりに

我々、父親に出来ることをしましょう。

家族の一大事です。仕事よりも家族を優先させ、安心感を与えましょう。

今できることをやる。これに尽きます。

 

参考文献

論文タイトル 著者 誌名 巻号
当科ホームページに寄せられる口唇口蓋裂患者の抱える悩み—ネットを用いた患者サービスについて— 口腔病学会雑誌 巻:70 号:1 頁:53
口唇口蓋裂児をもつ母親の心理的反応に関する研究 山梨大学看護学会誌 巻:3 号:1 頁:33-40
口唇口蓋裂児をもつ母親の障害受容過程に関する研究 山梨大学看護学会誌 巻:2 号:2 頁:62
愛知・岐阜・三重県で2002年に出生した48,491名中の口唇口蓋裂の発生頻度に関する研究 障害者歯科 巻:26 号:2 頁:210-215
口唇口蓋裂児をもつ父親の告知時の気持ちとその気持ちに影響を与えた出来事 日本看護学会抄録集 小児看護 巻:38th 頁:162
口唇口蓋裂児をもつ父親の気持ち(第1報)—病名告知時の気持ちに影響を与えた出来事— 日本看護学会論文集 小児看護 巻:38th 頁:251-253
口唇口蓋裂に対する出生前告知の実態—産科医師に対するインタビューを実施して— 日本看護学会論文集 母性看護 巻:35th 頁:178-180
口唇口蓋裂児を持つ家族への外来看護師の援助 日本口蓋裂学会雑誌 巻:28 号:2 頁:199
口唇口蓋裂を有する新生児275家族に実施した家族カウンセリングの実態報告(1999‐2008年) 日本口蓋裂学会雑誌 巻:34 号:2 頁:215
口唇裂口蓋裂を出生前診断された妊婦に対する治療側からの支援 : 出生前情報提供の体制作り 川崎医療福祉大学 日本口蓋裂学会雑誌 Volume 31 Issue 3 出版日 2006 ページ: 285-292
当院における口唇口蓋裂を持つ児とその保護者に対する看護 山口病院 母性衛生 Volume :44Number :3Page :174

 

 

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