※出典 ぱくたそ
フリーランスも“安全第一”へ:安衛則が大きく変わりました(2025年法改正解説)
2025年5月に成立した労働安全衛生法の改正は、これまで企業で働く人を中心に整備されてきた職場の安全対策の対象を「個人事業者(フリーランス)」にも本格的に広げる内容となっています。
今回はその中でも、安衛則(労働安全衛生規則)の改正ポイントについて、元労基署職員の視点からやさしく解説します。
改正の背景:フリーランスも同じ現場で働いている
従来の安衛法は、「労働者=会社と雇用契約を結んでいる人」を保護の対象にしていました。しかし、近年はフリーランスや個人事業主も、同じ現場で同じような危険にさらされて仕事をしています。
最高裁のアスベスト訴訟判決(2021年)では、「働き方にかかわらず同じ安全基準が適用されるべき」と示されました。
これが改正のきっかけとされています。
改正安衛則の注目ポイント
1.【注文者に課される新たな義務】
混在作業(労働者と個人事業者が同じ現場で働くこと)による災害防止のため、注文者(元請けなど)が講ずべき措置が新たに定められます。
-
作業手順の共有
-
危険箇所の表示や安全設備の整備 など
2.【個人事業者自身への義務】
フリーランスなどの個人事業者にも一定の義務が課されます。
-
安全衛生教育の受講
-
災害発生時の報告(監督署への届け出)
特に、高所作業や建設現場など「危険性の高い業務」を請け負う場合は、これまで以上に安全対策の理解と実践が求められます。
施行日はいつから?
施行日は以下の通り、段階的に設定されています:
-
一部:公布日から(2025年中)
-
主な規定:2026年4月1日(令和8年4月1日)施行
今後、何が求められるのか?
-
フリーランス:安全教育の受講、事故報告の義務化
-
注文者・元請:現場全体の安全管理の徹底
いずれも、「契約形態を問わず、命を守る仕組みを共に支える」ことがポイントです。
施行までに多くの準備と周知が必要ですが、現場で働くすべての人の命と健康を守るための、大きな前進です。
判決年月日:令和3年(2021年)5月17日
裁判所:最高裁判所 第一小法廷
事件番号:平成30年(受)第1447号~第1449号、第1451号、第1452号(各損害賠償請求事件)
判例集登載:民集 第75巻 第5号 1359頁
[…] ぺんぎ労災サポートセンター特定フリーランス部会に関する記事「士業こそ知っておきたい労災保険の特別加入制度」と、「【フリーランスも“安全第一”へ】安衛則が大きく変わりました(2025年…をブログにてアップロードしました。 […]