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ゲーム課金と経費化を考える:ラストウォーを題材にした税務のヒント<№712>

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※出典 ぱくたそ

 

ゲーム課金と経費化を考える:ラストウォーを題材にした税務のヒント

こんにちは。

北海道札幌市中央区の税理士 板倉圭吾です。

今話題のゲーム『ラストウォー:サバイバル』に関して、税理士としての視点から課金と経費化の問題を取り上げてみました。(宣伝記事ではありません)

1ユーザーとして楽しむ中で感じたことをもとに、税理士としての視点で課金と経費化の論点を整理しました。本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務判断については専門家への相談をお勧めします。

ゲーム自体は、Google PlayApp Storeでダウンロードして開始します。

App Storeによると

2000万人が熱狂中の『ラストウォー』!

ゾンビの群れをくぐり抜け、超爽快バトルでストレス発散!

という紹介がされております。

インスタグラム広告やテレビCMなどで

序盤と、それ以降でゲームの楽しみ方が大きく変わるところが印象的ですが、(製作者への敬意と実際にこの後に楽しまれる方への配慮も含めて)ゲーム自体の内容については触れません。

既にゲームを楽しんでいる方に向けて税務的な論点を紹介したいと思います。

 

課金で強化ができる

私はスマホでゲームをしたことがありませんでした。

そのようなスマホゲーム初心者にとって、このゲームのすごいところは課金して戦力を強化するための導線が上手に作られているという点でした。

750円などランチ代くらいの課金で、みるみる戦力が上がっていく様子が多くのユーザーに支持されていると思います。

また、攻略サイトや動画を参考にして、無課金や微課金でも強くなることが可能です。

 

仕事に活かせる気づき

公称2000万人のユーザーが言語を超えて楽しめるゲームというのは、とても素晴らしいと思います。

そのゲームを通じて、仕事に活かせる気づきを得ることができました。

  • 細かなアップデートの実行(ゲーム運営)
  • ユーザーからの意見をフィードバックするスピード感(ゲーム運営)
  • ゲームに参加する動機や時間帯がまちまちなユーザーを毎日の目標達成に向けて鼓舞する(連盟幹部)
  • 英雄の戦闘相性がジャンケンのようになっている(ゲーム設定)

面白いのは、ユーザーでも一般連盟員と連盟幹部でそれぞれに役割(ロール)があり、そのロールを楽しんでいるということです。

 

①課金が経費になれば…と思う方に(事業経費)

ここでは、個人事業主(フリーランス)がラストウォー:サバイバルへの課金を事業所得の経費に出来るのかということについて検討してみます。

まず国税庁のサイトを見てみましょう。

事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

ここでは、「売上に対応するコスト(仕入や業務上の費用)が必要経費です」と書かれております。

つまり、「つまり、ゲームプレイが収入に直接結びつく具体的なビジネスがある場合、課金が経費として認められる可能性があります。ただし、すべてのケースで認められるわけではなく、慎重な判断が必要です。

具体的にはゲーム実況配信などでプラットフォームから配信収入を得ている場合や、自身のゲームプレイの様子を書籍にまとめた場合の印税収入などが考えられます。

あとは、自分もゲーム開発を行っていて先行ソフトとして研究を行う場合なども想定としてはあり得るのでしょうか。

ただ、私見としてはゲームの射幸性も勘案して、

  • 売上の○○%までは経費。それを超える部分はプライベート。

というような決め事が必要になると思います。

例えば、「5,000円の動画収入を得たため、100万円を課金して英雄を強化しました」というような場合、その課金が本当に事業活動として認められるかどうか…。

あるいは、「いつ仕事に結びつくか分からないけど、先行ソフトとして課金して研究しています」のような課金が「業務上の費用」といえるのか…

 

 

②課金が経費になれば…と思う方に(家事按分)

判例ではこのように示しているものがあります。(平成7年4月28日徳島地方裁判所/事件番号:平成3(行ウ)6)

法人の場合と違って個人の場合には活動の全てが利益追求活動ではなく、所得獲得活動のほかにいわゆる消費生活があるので、個人の支出の中には収入を得るために支出される費用とは言い難い、むしろ所得の処分としての性質を有しているというべきものがある。例えば食費・住居費等がその代表である。所得税法はこれらを家事費と呼び必要経費に含めないことを明記している(所得税法四五条一項)。しかし、ある支出が家事上の経費であるかそれとも事業上の経費であるか明確に区分けできない場合も多く、また例えば店舗兼用住宅の減価償却費のように家事上の経費と事業上の経費とが混在している場合も少なくない。そこで、所得税法は両方の要素を有している支出を家事関連費と呼び、必要経費になる部分が明らかでないためこれを原則として必要経費に含めないとしつつ、事業の遂行上必要であることが明らかにできる一定部分に限ってこれを必要経費に算入することを認めた(所得税法四五条、所得税施行令九六条)。このように所得税法は明確に事業の経費といえないものは原則として必要経費としないこととしているのである。

「事業の遂行上必要であることが明らかにできる一定部分」については家事費についても経費計上ができることを示しています。

国税庁のサイトではこの部分を以下のように紹介しています。

家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。

(例)店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)

この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。

例えば、「5万円の課金のうち、20%は仕事に直接必要だったので1万円を計上する」というような按分計算のことです。

 

「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合」というのが、どのような場合に当てはまるのか考えてみます。

例えば、取引先の担当者がこのゲームにハマっていたとして、「フリーランスとしてその担当者と仲良くなって、どうしても取引を増やしたい!!」場合がこれに当てはまるのか?

「居酒屋に誘ってみたけれど、ゲームに夢中で家に帰りたい」と言われて、「それなら一緒にゲームしましょう」と言ったとしても直接必要とはいえないと思います。

そもそも同じサーバ・同じ連盟にならないとゲーム内で接点がほぼないし、共通の話題作りとして始めるという動機なら無課金で済むわけです。

私見としては、実際に会って同じ時間を過ごしながら飲食することとは、経費として認められる基準が大きく異なると感じます。業務上直接必要であることを証明するには、客観的な記録や合理的な理由が求められます。

 

まとめ

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

ゲームとして楽しむ分には文句なしのラストウォー:サバイバル。

一方で、ゲーム課金のような趣味的な支出が事業所得の経費に該当するかどうかは、非常に慎重に判断する必要があります。

税務については、国税庁の公式情報や税理士などの専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

 

※本記事は、筆者の個人的な見解に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。具体的な税務判断については、国税庁の公式情報をご確認のうえ、税理士などの専門家にご相談ください。なお、本記事の内容は課税庁の公式見解を代弁するものではありません。

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