※土曜日のランチは外で食べました
(はじめに)フリーランスの労災についての新聞記事
おはようございます。
北海道札幌市西区のイクメン税理士 板倉圭吾です。
昨日の北海道新聞(2018/5/13朝刊)に以下のような記事がありました。
「一人親方」や「フリーランス」と呼ばれる個人事業主が取引先の業務で死傷したにもかかわらず、労災認定されないケースが全国で相次いでいる。労働基準法上、労働者は、国が1985年に示した判断基準を根拠に「使用者と従属関係にある者」などと定められているためだ。最高裁もこの基準を追認する判断を示している。札幌地裁で今春、一人親方の男性が国に労災給付を求めた民事裁判の判決が言い渡されたが、判決は基準を根拠に「労働者に当たらない」と判断、請求を棄却した。雇用形態の多様化で個人事業主は増加しており、専門家からは「労災法制が時代に追いついていない」との声が上がる。
私の専門分野の一つ、労災補償の記事です。
今日はフリーランス(ひとり仕事)の労災について、説明したいと思います。
(1)そもそも労災とは
労災とは、労働災害の略です。
仕事中や通勤途上に生じた災害等に起因した労働者の「負傷」、「疾病」、「障害」、「死亡」などが想定されています。(北海道だと、通勤途中の凍結路の転倒とか結構多い)
労働基準法では、労災について社長が無過失であっても補償する責任があります。(「俺の見ていないところで勝手に怪我したから補償とか知らない」と社長は言えない)
【労基法第七十五条】労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
※使用者=社長 と読み替えてください。
(2)労災保険法と労働基準法との関係
上の規定だけ見ると、労働者が怪我をした時に「社長が病院代を全額負担する」というイメージです。
でも、それだといつも持ち合わせがない社長の下で働いていたら不安ですよね…
労災だと健康保険証は使えないし…(嘘ついたら不正受給ですからね)
と、いうことで「労働者を雇った社長は労災保険に強制加入」です。これだと、安心。
労災保険の所定の用紙を、病院の窓口に提出すると本人負担0円で治療が受けられます。
で、労災保険を使って補償した場合に、社長は(1)の災害補償責任を果たしたことになるのです。
ちなみに、労災保険料は全額会社負担。年収500万円の飲食店従業員一人当たりの年間労災保険料は15,000円です。(厚生労働省:労災保険料率表)
【国民健康保険法第五六条】 療養の給付(中略)支給は、被保険者の当該疾病又は負傷につき、(中略)労働基準法の規定による療養補償、労働者災害補償保険法の規定による療養補償給付若しくは療養給付を受けることができる場合には、行わない。
【労災補償法第三条】 この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
【労基法第八十四条】 この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(中略)に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。
(3)フリーランスの労災(その1)
ここまで読んでいただいて、ようやく本題のフリーランスについてです。
ひとり仕事としてのフリーランスは、上記(2)の強制加入の対象ではありません。労働者ではないからです。
むしろ経営者扱い。
ただ、昭和の時代から特別加入という制度があります。
中小事業主や建設業の一人親方などが想定されています。強制加入⇔特別加入なので任意です。
特別加入は以下の種類があります。
- 中小事業主等
- 一人親方その他の自営業者
- 特定作業従事者
- 海外派遣者
ざっくりとイメージを伝えると
- アルバイトを年間100日くらい使っているような中小事業主も労災保険使えるようにしよう
- 一人親方や個人事業主も労災保険使えるようにしよう
- 農機具使ったり農薬散布したりする農家、プレス機械使うような家内労働者、介護関係者も労災保険使えるようにしよう
- 海外派遣の労働者も労災保険使えるようにしよう(基本、強制加入では国内の災害と海外出張だけカバーだから、海外に居住した人は任意加入)
2.が気になりますよね
だって、個人事業主って書いてあるもん。広くフリーランスの補償ができる感じです。
(3)フリーランスの労災(その2)
一人親方その他の自営業者の特別加入について詳しく見てみましょう。
残念ながら、業種制限があります。
- タクシー運転手、ダンプ運転手、バイク便
- 建設業の一人親方
- 漁船に乗っている人
- 林業従事者
- 医薬品の配置
- 廃棄物収集等
- 船員
ちょっと狭いですよね。
「労災法制が時代に追いついていない」
という新聞記事は、ここの指摘でしょう。
今の時代のフリーランスの実態と乖離しています。
(4)結論
フリーランスの労災は特別加入。でも業種限定。
社会保険や民間保険と比較しても、給付が手厚いのが労災保険の特徴です。なんとかここに加入できるフリーランスを増やしてほしいです。
フリーランスの方、フリーランスを顧問に持つ方に知ってほしい労災保険の特別加入制度についてのご紹介でした。
※国民健康保険法第五六条の趣旨から鑑みると、特別加入ができないフリーランスの労災は健康保険証でカバーできるということか。(濁しておく)
参考サイト:公益財団法人 労災保険情報センター>労災になりますか
【編集後記】
土曜日は、午前中に娘と公園へ。敷物を敷いて、ピクニック気分です。同じ保育園のお友達に会い、走り回っていました。
そして、午後はお兄ちゃんも一緒に違う公園へ。野球、サッカー、ラジコンと満喫です。アップルウォッチのリングが2周した。
日曜日は母の日のクッキー作りをしました。
【週末の1日1新】
セイコーマートのプリン