働き方改革関連法の施行について
皆さん、こんにちは。
北海道札幌市西区発寒のイクメン税理士 板倉圭吾です。
今日は、労働法の話題です。
働き方改革の一環で法改正があったのをご存知でしょうか。
※URLの表記がないものは、厚生労働省からのキャプチャです
- 時間外労働の上限規制が導入される
- 年次有給休暇の取得が義務化されました
- 正規、非正規の不合理な待遇差が禁止されました
改正労働基準法による新しい有給休暇の制度
今回、取り上げたいのは2.の年次有給休暇の取得が義務化です。
なぜなら、
来年4月1日から適用が開始するから。他の項目と異なり、中小企業も例外なしです。(出典)
対象
年休が10日以上付与されている者
内容
有給休暇を1年間に5日間は使ってもらいましょうという義務です。
5日使っていない労働者に対し、1年間で5日の年休を、使用者が「この日に休んでください」と指定して休んでもらう。日時の指定には労働者の希望を確認する。(出典:審議会資料)
【具体例】労働者釣り好きのAさん、イクメンBさん、仕事命のCさんと、使用者X社長の場合
- Aさんは釣りが好きなので自分で有給休暇を5日使っている → X社長は何もしなくてよい
- Bさんは子どもの入学式で1日だけ有給休暇を使った。会社としてお盆休みと正月で4日間の計画年休を予定通り実施した。 → X社長は何もしなくてよい
- Bさんは子どもの入学式で1日だけ有給休暇を使った。会社としてお盆休みで1日間の計画年休を予定通り実施した。 → X社長は、あと3日間の有給休暇(又は計画年休)を指定する必要がある
- Bさんは子どもの入学式で1日だけ有給休暇を使った。会社の計画年休は定められていない → X社長は、あと4日間の有給休暇(又は計画年休)を指定する必要がある
- Cさんは有給休暇を一日も使っていない。 → X社長は、5日間の有給休暇(又は計画年休)を指定する必要がある
罰則
新労基法第120条第1号の罰則の適用があります。
つまり、30万円以下の罰金です。
解説
年休が10日以上付与されている者って?
- 通常の労働者の場合は6か月経過時点で「10日以上付与されている者」になります。
- 日数や時間が短い方は、表のとおりです。
計画年休って?
正しくは「有給休暇の計画的付与」といいます。労使協定により会社全体が休む日を決めるものです。
当初の労働契約が「休日:土日祝日」となっていた場合に「勤務しなければいけないが、会社全体で休んでも影響が少ない日」に指定することが多いです。(お盆やお正月など)
ポイントとして、「みんなに平等の効果がある」ということです。
具体例(これ大事なところです)
設定
- 入社日 2018/3/1 A、B、Cの3人が入社した(有給日数の管理が同一である)
- 付与日① 0.5年経過日 2018/9/1 → 10日間付与
Aさんは5日 自分で取得した(X社長は義務達成)
Bさんは1日 自分で取得した(X社長はあと4日の義務)
Cさんは0日(X社長はあと5日の義務)
- 適用開始 2019/4/1
- 付与日② 1.5年経過日 2019/9/1 → 11日間付与
ポイント① 労基署はどこからどこの期間を1年と見るのか
これは大切なところです。
答えは、2018/9/1-2019/8/31の期間です。円弧の部分。
適用開始日が含まれている円弧の部分から、5日取得ルールが義務化されます。
つまり、この例ですと今日現在で既に義務化期間に入っているのです!!(労基署確認済)
ポイント② 5日間、計画年休にしちゃえばいいじゃない?
先ほどご説明した計画年休。
「みんなに平等の効果がある」と指摘しました。
「正月休みに5日計画年休で義務達成だ!!」とX社長が判断したと仮定します。
確かに、A、B、Cの三人とも5日以上の有給休暇の取得となり、義務達成です。
しかし、Aさんは有給休暇の残日数0日です…労使の協定に賛成してくれるでしょうか。
そして、もともと休日だった日を計画年休とすることは不利益変更となります。例えば、A、B、Cの3人の労働契約が「休日:土日祝日及び年末年始」となっていた場合です。
休日と約束していた日を勤務日に見立てて、年休とすることは労働者にとって不利益ですよね。
このように、義務の達成だけにこだわると新たなトラブルの可能性があるのです。
まとめ
なぜこのような法律改正が行われたのか。
それは、これまでの有給休暇の制度ではみんなが休みにくかったからです。
一番休む人ではなく、一番休まない人にベースラインを置く考えに変わりました。
イクメンとワーキングマザーをサポートする板倉事務所としては、
全員が5日以上の有給休暇を取得する企業になれば、計画年休は考えなくてもよくなります。
とお伝えしたいところなのですが…
それでも、既に義務期間に突入してしまった会社もあるということ、義務履行にはいろいろな方法があることをお伝えしたく記事にしました。
上記記事に関して、下記経過措置の規定を確認していることをお知らせするとともに、詳細については社会保険労務士や労働基準監督署にご自身で確認されることをおススメいたします。
整備法の施行の際4月1日以外の日が基準日(年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとした場合はその日)である労働者に係る年次有給休暇については、整備法の施行の日後の最初の基準日の前日までの間は、新労基法第 39 条第7項の規定にかかわらず、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法第 39 条が適用されるものであること。
【参考】
平成30年9月7日 基発0907第1号
【免責事項】
本記事の執筆に際し、労働基準監督署への問い合わせなどを含め内容の正確さに努めておりますが、実際の運用にあたっては責任は負いかねますのでご了承ください。
この記事は執筆時点の法令等に基づいて記載されております。その後の改正等は反映されません。
【編集後記】
今朝は寒かった。急遽、白菜とツナとブナシメジの中華スープを作って子どもに食べさせました。
【昨日の1日1新】
末永志保さんと連絡を取る (『美しいを目指すママ税理士』のブログを運営されています。良い記事たくさんあって、感動したのでメールしちゃった。)
娘のランドセル収納棚を購入。3年前に息子に買ったのと同じものだけど、値上げしていた。想定外で痛いけど、クオリティには満足しているので買いました。
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