税額を抑える方法には、3種類があります。
名前は似ているけど、中身は全然違います。
脱税・租税回避・節税
脱税
脱税とは、売上を少なくごまかしたり、実際にはない経費を計上したりすることです。法律で禁止されている(つまり違法な)やり方です。
会社には、
①本来払うべき税金の支払い
②延滞税・加算税による追加支払い に加え、
③刑事罰
もあり得ます。
税理士は、税理士法により脱税相談が禁止されており、3年以下の懲役・200万円以下の罰金が規定されています。また、業務停止や資格はく奪などの処分もあります。これまでの努力の成果がゼロになります。
「絶対ダメ」ってことです。
租税回避
租税回避とは、「税法の想定外のやり方」で税額を減らすことです。
通常ではありえない不自然な取引を使うけど、法律の抜け穴を使っているので違法ではないという点で脱税と異なります。
節税
節税は、「税法の想定内のやり方」で税額を減らすことです。
立法政策として、「エコカーを増やしたいから優遇しよう」、「雇用を増やしている企業を優遇しよう」、「製造業が海外に移転されたら困るから応援しよう」など、目的のために負担軽減を考えます。
その法律の立法趣旨に合ったやり方で、お客様の事情にフィットするものを見つけますというものです。社用車の入れ替えをEVにしましょうだとか、雇用促進税制を導入しましょうというようなご提案です。
租税回避は大丈夫?
租税法律主義(法律なくして課税なしという原則が憲法に定められています)から考えると、一概に「租税回避はダメ」とは言えません。
そこで否認規定が作られます。具体的には同族会社の行為計算の否認規定(所得税法、法人税法、相続税法、地方税法とめっちゃ網羅されています!!)や、法人組織再編成にかかる行為計算の否認規定、連結法人にかかる行為計算の否認規定などです。それ以外にかなりの数の個別的否認規定があります。
否認規定の適用局面(少し難しい話)
経済合理性基準
これまで、否認規定については経済合理性基準が採られていました。「純経済人にとってその取引が不合理・不自然であるか」というテストです。
税金を減らしたいがために、損(不合理)するような取引や他の取引形態の方が自然であると判断される場合には租税回避に該当する(ので否認規定に該当する)というものだと理解しています。
趣旨目的基準
司法の場で基準が増えました。課税減免規定の適用要件が満たされているにもかかわらず、民法上の濫用法理と結びつける判決が出たのです。
最判平成17年12月19日の外国税額控除に関する判決では、制度の趣旨目的から著しく逸脱する態様で、損失が生じるだけの取引をあえて行ったような場合には、制度の濫用であると判示しました。
最判平成28年2月29日の組織再編税制に関する「ヤフー事件上告審」では、組織再編税制の否認規定が租税回避の濫用を禁止しており、副社長就任が租税回避の濫用と認められるものであり、法人税の負担を不当に減少される結果となるため法人税法132条の2に該当すると判示しました。
上述の経済合理性基準だけではなく、税法の趣旨目的に対し濫用である場合にも否認されます。
で、どうすれば良いの?
「そもそも税法を知らないよ」というお声もあると思います。お困りの際は税理士に相談しましょう。北海道税理士会による無料相談も定期的にあります。
板倉事務所では顧問契約のほか、単発の税務相談のメニューも準備中です。2017/9/14には租税回避の上記判例について、鳥飼法律事務所の西中間弁護士の見解をお伺いしました。そのような専門家からのアドバイスもフィードバックしてきます。
「こうすると適正な申告になりますよ」というお手伝いをしていきたいと思っております。もちろん「どうしたら脱税できますか?」というお問い合わせは断固お断りです。
【編集後記】
独立から1か月が経過しました。鈴江事務所とも連携を取りつつ、日々充実しております。
そろそろ札幌は外套が必要ですね…。
【週末の1日1新】
ブックマニアで本の買取依頼(段ボールが送られてきて、集荷も手配してくれる)
父の入院お見舞い(元気そうで安心)